〜最近減ってしまった、心が通う時〜
朝の出勤途中にほっこりする出来事がありました。
いつも通る、地下街から地上へ出る階段でのこと。
踊り場が3つもある長い階段です。エスカレーターはなく階段を登るしかありません。
私の少し前を、おばあさんというほどご高齢ではなさそうなおばさんが、その階段を登り始めました。CAさんが持つようなキャスター付きの手荷物を持ち上げては一段上がり、また荷物を上げては自分が上っていきます。重そうに見えたので私は「お手伝いしましょうか?」と声をかけました。
これまでにも同じようなシュチュエーションでご高齢の方へ声をかけたことがありますが、中には年寄り扱いをされたことをうっとおしがられたこともありました。
なので、「どうしましょうか?」という雰囲気でお尋ねすると、「いえいえ、いいですから」と言いながらもしんどそうにしています。
よく見ると他にバッグは持っていません。ということは貴重品もこのキャスターバッグに入っているようなので、わたしが持って先に階段を上がるわけには行きません。
なので持ち手をおばさんと一緒に持って階段を登ることにしました。そして持ってみると、予想より重くて驚きました。
バックは重いし階段は長いので私は早く登ろうとしましたが、おばさんは私と一緒に荷物を持っても早くは歩けないようで、「ひざが痛くてねぇ。」とつぶやきました。
その後、踊り場に来る度におばさんは、「もういいですよ。」と息を切らしておっしゃいますが、私はそのまま一番上まで、ゆっくりペースでご一緒しました。今から思えば踊り場で少し休憩したかったのかもしれません。気が回らなかったことを反省しています。
こうして階段を登りきるとおばさんは、「ちょっとまっててね。待っててよ。」と言って慌てて荷物の中からお寿司を取り出して、「私が作ったものだから食べられないかもしれないけど。」と言いながら私に持たせてくれました。
もちろん最初はお断りました。おばさんのランチであろうお寿司をいただくほどのことはしていません。
でもおばさんのお寿司をあげたいと思う気持ちは、私がさっき荷物を持ってあげたいと思った気持ちと同じなのかなと思い、「遠慮なくいただきます。お寿司大好きです。」と応えて頂戴しました。
夕食に夫と一緒にいただきました。(ランチは持参していたので。)
自家製であろうたくあんと、塩漬けの大葉、いりごまが入ったシンプルな太巻きですが、おばさんのお人柄のような優しさと、深みのある味わいでした。
夫は手の込んだ太巻きに感動し、「もしかしたら、このお寿司がたくさん入ったバッグだから重たかったんじゃないの?どこかに卸に行くところだったのかもね。」と話していました。笑
人との関わりがSNSやリモートばかりになっているこの頃に、とても心があたたまる出来事だったので、シェアさせていただきました!